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点と点

読書録&にっき

2017年2月

2017年2月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2594ページ
ナイス数:26ナイス

英文法をこわす―感覚による再構築 (NHKブックス)英文法をこわす―感覚による再構築 (NHKブックス)感想
今日買って読了。英文法の勉強をリスタートしておよそ一ヶ月になり、本屋で題名と著者名に目がついたので購入。元々、関正生先生の英文法を勉強していてまあ目から鱗というのが多かったので、『1億人の英文法』の大西先生はどんな風に書かれているのか楽しみながら読めた。ただ、この本の主眼がいわゆる学校教育の英文法の有用性の無さを主張することにあるため、大西先生の言う「感覚」とはなにかについては体系的に書かれているとは言えない。ただ、頭の中で英語というものの抽象度が上がって感覚に少し近づいたような気がする。
読了日:2月28日 著者:大西泰斗
使える語学力 7カ国語をモノにした実践法(祥伝社新書) (祥伝社新書 426)使える語学力 7カ国語をモノにした実践法(祥伝社新書) (祥伝社新書 426)感想
速読で読了。
英語学習のモチベーション維持のための再読。
自分が英語などの外国語を学習して何をしたいかを考えながら読み、少しハッキリしてきた。
というのも、国際政治学を学習する上で必要だから始めた英語学習だが、結局外国人と話したい気持ちも相当量あるという事だ。
英語学習の今後の方向性が明確化したし、方法や指針も少し修正できた。
読了日:2月22日 著者:橋本陽介
イスラム国 テロリストが国家をつくる時イスラム国 テロリストが国家をつくる時感想
読了。
ISがどのような過程を経て今の形に至ったのか、彼らの思想はどういったものなのか著者の考えが書いてある。イスラームに関してはある程度知識はあるがイスラームを使った犯罪組織に関しての知識がないので若干読みにくかった。
ISをシオニズムに基づいたイスラエル建国と同一視する視点は衝撃的。
ただし、カリフ制度=悪という前提で話が進んでいるような気がしてならない。私はバグダディが本当のカリフでないとして、カリフは必要だと考える。
池上彰の解説は必要ない。なぜ、訳者の言葉を入れないのか。翻訳は読みやすい。
読了日:2月21日 著者:ロレッタナポリオーニ
幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII感想
読了。
エーリッヒ・フロムやアダムスミスの引用が後半目立った。フロムの『愛する技術』(日本では『愛するということ』)は読んだことがあって、アドラーとフロムの結節点が本書だと感じた。
「哲学とは、理想は理想として追い求めながら、地に足のついた論考でなければならない。」
「(アドラーは)フロイトのように、戦争や殺人、また暴力の『原因』を考えるのではなく、『いかにすれば戦争を食い止められるか』を考えた」
私が、国際政治を学んでいる中で、リアリズムに徹するべきではない論拠もこれにかなり近い気がします。
読了日:2月20日 著者:岸見一郎,古賀史健
ユダヤ教 キリスト教 イスラーム: 一神教の連環を解く (ちくま新書)ユダヤ教 キリスト教 イスラーム: 一神教の連環を解く (ちくま新書)感想
読了。
比較宗教学なる学問的観点から三宗教の関連性、特に福祉に関して書かれている。
旧約聖書からモハメド・アリの言葉まで多彩な引用で宗教学のイメージが変わった。
「動物たちの世界は平和で穏やかじゃないか。鳥たちの世界も平和で穏やかじゃないか。自然のすべては、人間を除いて完全にうまくいっている。人間が苦しんでいるのは、自然や神の掟に逆らった生き方をしてきたからだ。国家なんて忘れることだ。皮膚の色なんて忘れることだ。宗教の違いなんて忘れることだ。」(モハメド・アリ
日本の愛国主義者の言葉が虚しく聞こえる。
読了日:2月19日 著者:菊地章太
三酔人経綸問答 (岩波文庫)三酔人経綸問答 (岩波文庫)感想
読了。中江兆民ー三酔人経綸問答はよく問題で聞かれた気がする。
古典独特の、しっとりした文体、しかし内容は苛烈。今の(国際)政治は本書の域を未だに出ていないと思う。
また、民主主義と拡張主義の意見の対立、南海先生中立的意見以上に、学問(特に文系学問)の有用性を指摘する一文が印象的。
「時代は絹、紙、思想は絵具、事業は絵です。一時代の社会は、一幅の絵なのです。」「あなたが今のうちに、思想という絵具の調合に努力して怠らないならば、百年後には、その絵具の汁が社会という皿に、どくどくと溢れるようになるでしょう。」
読了日:2月16日 著者:中江兆民
「戦争学」概論 (講談社現代新書)「戦争学」概論 (講談社現代新書)感想
読了。
初っ端から論理構成の意味不明の文章に出くわしたため、大丈夫か、と心配させられた。
地政学から現実の紛争の解説、今後の予想の三段構え。
最初の地政学、分かりにくい。村山秀太郎地政学入門をオススメする。
現実の紛争に関しても考察が1面的、宗教的要素が殆ど無視されている。
そして、戦争要因を経済とした上で、米ソの対立を民主主義と共産主義の対立との表現には納得いかない。現実には共産主義は独裁に陥るが元は民主主義を志すものである。経済を基礎として論ずるなら資本主義と共産主義の対立だろう。オススメしない。
読了日:2月13日 著者:黒野耐
国際連合―その光と影 (岩波新書 黄版 323)国際連合―その光と影 (岩波新書 黄版 323)感想
国際連合の歴史を淡々と語った名著。
多くの冷戦期の事件と国連の対応を点で列挙し、ここの事案から導かれる国連の態度、システム、理想が語られている。
1985年にかかれた本なので、「現在」とされている所は実質30年前になるのだが、その当時を感じられる貴重な資料だと感じる。
一読の価値あり。
読了日:2月11日 著者:明石康
「トランプ時代」の新世界秩序(潮新書)「トランプ時代」の新世界秩序(潮新書)感想
いろんな書店を探し回って5店目で見つけた。メディアで話題の三浦瑠麗さんの著作。トランプ現象を自身の現地取材と国際政治学者としての知見に基づく冷静な分析が印象的。トランプ時代と銘打っているが、分析レベルは個人だけではなくアメリカ国内の政治システムを含み、ミクロマクロの視点を両方持っていた。特に94頁のトランプの不法移民発言にまつわる分析が素晴らしい。
読了日:2月5日 著者:三浦瑠麗
古市くん、社会学を学び直しなさい!! (光文社新書)古市くん、社会学を学び直しなさい!! (光文社新書)感想
基本的にテレビは見ない質だが、古市憲寿さんのことは顔と、ハーフ劣化発言で知ってた。彼には中高で天才的に勉強ができた人に似た感情を持った。その発想はどんな枠組みから出てくるのか、読んでいてもわからない。著者は僕の定義する天才なのだろう。
社会学ってなんだって思って読んだのだけど、社会学者の葛藤が見えて面白かった。つまり、定義が少なくとも一般の人には了解されていない故に存在意義みたいなものを考え続けている感じ。今回は、社会学者の葛藤だったんだけど、本質的な部分はすべての大学院生・学者に通じるものだとおもう。

読了日:2月4日 著者:古市憲寿

読書メーター

読書歴②

久方ぶりの投稿です。およそ、1月ぶりでしょうか。

 

確か前回、月7冊を読むことを目標としたと思います。前回時点で5冊でした。

なので、11月は余裕で7冊を突破できました。(量より質だろう、なんて声が聞こえてきそうですが。笑 この点に関してはいつか書きたいと思います。)

 

 

名著に学ぶ国際関係論 第2版 (有斐閣コンパクト)

名著に学ぶ国際関係論 第2版 (有斐閣コンパクト)

 

 高坂正尭先生の『国際政治』の後に読みました。

古くは、プロイセンクラウゼヴィッツからジョゼフナイまで、20ほどの著作の要約がのっています。

私としては、EHカーの『危機の20年』からのモーゲンソーの『国際政治』の順番が胸熱でした。← というのも、両者ともに超がつくほどの有名リアリストなのですが、この2人の見解の相違が非常に興味深い。3回くらいカー→モーゲンソー→カー...みたいに読み直しました。

ざっくり言えば、カーはリベラルを排斥しません。必要なものだとしています。段階的に、リベラルとリアリズムを使い分けすべきだとしています。それに対してモーゲンソーはリアリズム徹底。「いや、そんなにこだわらなくても...」ってなるくらい徹底。この違いを読み進める楽しさ分かりませんか!?←

かなり、学習的色彩の強い本です。ただ、国際政治学(国際関係論)理論の大まかな流れを掴むのに最適です。

 

 

 『名著に学ぶ国際関係論』を読んだ後に世界史忘れてるわ、現代史なんてザックリだったしとなって読みました。図書館にはもっと荘重な分厚い世界史の本は沢山ありましたが無理なので新書サイズです。

著者は、大学受験に携わる人物です。故に、若干詰め込みすぎな感じは否めません。ただ、詰め込み学習の権化である日本国民のゆとり世代にとっては?まあそんなに気にならない。なんとなく高校時代を思い出します。

上巻しか読んでません。笑 上巻は、第二次大戦直前までかかれています。あんまり目新しい情報はなかったかなという感じです。

これはあくまで個人的な意見ですが、イスラームの叙述が微妙。前回投稿の『地政学入門』も素晴らしい本でしたがイスラームに関する叙述はあまりピンときませんでした。憶測ですが、西洋的世界史に迎合しているからでは?と思います。(たまに西洋的な世界史から区別するために地球史なんて名前をつけた本を見かけます。)シリアのアサド政権(アラウィー派)はイスラームとは言い難い。 この辺にしておきます。笑

 

 

国際政治学をつかむ 新版 (テキストブックス[つかむ])

国際政治学をつかむ 新版 (テキストブックス[つかむ])

 

 

 

国際政治―恐怖と希望 (中公新書 (108))

国際政治―恐怖と希望 (中公新書 (108))

 

 この後は教科書で使用している『国際政治学をつかむ』を読み切り、もう1度高坂先生の『国際政治』を読みました。

ここまで知識を積み重ねると、日本屈指のリアリストと呼ばれた高坂先生の立場がなんとなく分かるようになりました。

 

 

多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)

 

 そのあと、そもそも本ってどうやって読むねん!みたいなところから買ってみました。

ちょっと抽象的というか、作者の経験を裏付けとした内容につき作者をよく知らない私には読みづらかったです。

 

 

カント入門 (ちくま新書)

カント入門 (ちくま新書)

 

授業でカント哲学をとっているので読んでみました。

授業では、『純粋理性批判』がほとんどですが『カント入門』では『活力測定考』から『判断力批判』まで網羅的に記述されています。

一周しか読んでいないので感想に留めますが、『純粋理性批判』『実践理性批判』の部分はなんとなく理解はできたと思います。しかし、そのあとから『判断力批判』までは正直ちんぷんかんぷんで、分かったようでわからないようで。なんとか読み切りましたが、今後折に触れてもう1度読んでみようと思います。

 

 

読書歴①

 

 

 

国際情勢の「なぜ」に答える! 地政学入門

国際情勢の「なぜ」に答える! 地政学入門

 

 

 

読書力 (岩波新書)

読書力 (岩波新書)

 

 

 

国際政治―恐怖と希望 (中公新書 (108))

国際政治―恐怖と希望 (中公新書 (108))

 

 こんな感じで読んでいきました。

実は、『イスラームから世界を見る』のあとに、ジョセフ·ナイの『国際紛争』にトライしたのですがさっぱり頭に入ってこない、という状況…。

その原因を歴史に関する知識不足かなあと思い、地政学をやってみようということになりました。

最初に読んだのは『地政学のきほん』です。

図がたくさんで今さら人には聞けないような基本的な内容が書いてあります。が、私でも知っていることが多くてちょっぴり退屈だった。ただ、後半にいくにつれて知らないことも出てきました。とくに、中東関連、地図と共に読み進めていくのは有効でした。

次に、『地政学入門』をよ見ました。村山秀太郎先生という、大学受験塾講師で受験サプリの世界史講師。名前は知っていました。僕は村山先生の世界史の文章は大好きになりました。笑 先生は何かと渋いかっこよさを漂わせる方で。なんとなく、縦書きの方が似合っていてこちらとしても読みやすかったです。『地政学のきほん』よりは難易度は高いですが、読みやすいです。

ただし、『イスラームから世界を見る』のあとに読むと、シリアのイスラーム事情に対して安易な分析をしていると捉えることのできる箇所もあります。

その後、もっと効率的に読書、また読書による情報収集ができないものかと考え、方法論を学ぶために『読書力』を読みました。齊藤先生の文章、読みやすい。メディア出演を多くされているので人物イメージは持っていましたがかなり刺激的な表現もされる面白い方です。実は金欠なのでこの三冊は図書館から借りてきている本なのですが、先生いわく、買えと。必要投資だと。そうなんだけどおおおお、ってなりながら読んでいました。財政再建頑張ります。

そして一番最後に、日本国際政治学の必読書、古典的名著『国際政治』です。読む前から、古典ながらいまもなお役に立つ的な、評価を多々目にしてきました。うそやろー、とか思いながら読みましたが本当でした。笑 解決策を与えるというより、国際問題にはどのような問題があって、どのようにその問題は発生されたかを新書の形でコンパクトにまとめています。

 

元外務省官僚で作家の佐藤優先生いわく、学生は月10冊、最低でも7冊読めとのこと。小説などの娯楽を除いた上で。小説の取り扱いについては議論のあるところだとは思いますが、とにもかくにも月7冊は目指していきたいと思っています。

11月10日現在、五冊読了です。

いままでの読書不足を補うように狂ったように読んでいます。笑 読書にここまで、というのはなくていくらよんでも新しい発見があって…。楽しい。同じ本をまた読むというのも大事にしていきたいと思います。

『イスラームから世界を見る』

今回は、前回の本と並行して読んでいた『イスラームから世界を見る』内藤正典(ちくまプリマ―新書)です。

 

イスラームから世界を見る (ちくまプリマー新書)

イスラームから世界を見る (ちくまプリマー新書)

 

 

 

ちくまプリマ―新書は、「プリマー(primer)が「初歩読本、入門書」を意味する通り、ヤングアダルトを対象とした新書である。」(ヤングアダルトとは、20歳から40歳に当たるそうです)という意味からも分かるように大人の教養書といったところでしょうか。ちくま新書と姉妹本で創刊数は少ないですが(私の感覚です)、装丁がとても私の好みなのでちょくちょく手に取ります。(買うとは言ってない)

世界を見る、と題していますが地理的な舞台の大半はイスラーム世界若しくは、その周辺国との関係を中心に論じています。ただし、この話をするうえでイギリスやフランスなど帝国主義国の登場は当然あります。

第一章は、読み出しには最適、一般的なイスラームに対する見方に対して本当はこうなのだよ、ということを教えてくれる内容です。例えば、「ジハード(聖戦)」についていえば、「信徒が命の危機に瀕していると考えれば、戦いによって信徒を守れと神が命じていること」と説明されています。さらに、イスラームが暴力的であることを明確に否定しています。理由なき殺人については厳格な規定があること、またムハンマドがそうであったようにイスラームは商人の宗教であるということなどイスラームの平和的性質と、「キリスト教そのものは、平和と愛を説き、イエス自身も徹底して非暴力の精神で、十字架に掛けられて殺され」たにも関わらず、「キリスト教徒は延々と戦争と暴虐を繰り返して」きたことなど、イスラームに対して否定的な立場のキリスト教徒に対する批判を根拠としています。キリスト教徒への批判も辛辣なところがありますが、教義を守らないイスラームに対しても所々で批判を展開しているあたりは、白黒はっきりさせるというより現状のイスラームに関する諸問題がより複合的であることを示しています。

第二章では、「イスラームの世界地図」と題し、イスラームの歴史を誕生から現代まで論じています。ここでは、ヨーロッパ的な見方がイスラームの考え方とは合わないことを折に触れて紹介しています。

第三章では、アラブの春、第四章ではイスラームと民主主義を扱います。我々日本人もアラブの春をなんとなく肯定的に見る人々が多いのではないでしょうか。少なくとも、私はそうでした。偏見にまみれた自身の考え方を基に、これからはより開かれた平等な社会が浸透するだろうなんて思っていました。どこかの本で読んだのは、民主化の第三の波なんて言われていました。しかし、実態はそうでもない、というのが筆者の主張です。何も彼らが行った民主主義が間違った(ヨーロッパのものと違う)と言っているわけではありません。ヨーロッパの政教分離に代表される民主主義がイスラームの浸透した地域には合わないということです。そもそも、イスラームは法的項目を設けていて、その順守をムスリムイスラーム信徒のこと)に求めている以上、政治がイスラームを離れて独自に犯罪を規定する法律を作ること自体が神に反抗することになりうるのです。これは極端な例ですが、我々が常識とも考えている政教分離でさえ、イスラームの浸透した地域では適合しえないということのようです。ただし、イスラーム流の民主主義を目指すべきとも主張しています。

第五章では、世俗主義国家とイスラーム国家について述べています。世俗主義国家は、ざっくりいえば宗教と運営を切り離した国家と言えます。もっとも顕著な国が、フランスです。政治のみならず、服装についても公衆の前に晒される場合は宗教的服装には罰則規定が設けられています。(そう言った中でフランス国籍のムスリムはなかなか順応できてきていないとも書かれています。)第三、第四章でヨーロッパ式の民主主義がイスラームの浸透した地域では合わないと書きました。ここではトルコが世俗主義的な民主主義を実施した後、イスラーム的な民主主義を成立させた国として紹介されています。トルコの歴史的な展開を探ることでイスラーム的な民主主義とは何かという具体的な形が見えてきます。

第六章は、アメリカとアフガンのタリバンとの関係、第七章はヨーロッパとイスラームの関係を扱います。ウサマ・ヴィンラディンをかくまうアフガニスタンの論理が、パシュトゥン・ワリという日本語でいう仁義に似たような考えで行われたこと、タリバンは広い目で見るとアメリカが生み出した組織であり、またアフガニスタンの現在の混乱もアメリカによるものであることが事実の羅列と共に解説されています。ヨーロッパとの関係では、ヨーロッパに住んでいるムスリムの立場について、アルメニア問題について述べられています。私自身がアルメニア問題については全く知らなかったですが問題の経緯もかなり理解できました。

 

イスラームに対する理解不足・理解しようとする意欲不足が今の問題を生んでいるのではないか、というのが本を読み終えた段階で私の認識です。西欧の民族主義、民主主義が自分たちに適合しているからそれは正しいものでどこでも利用可能であるという認識がどこかにあるのかもしれません。そもそも、日本にも西欧式の民主主義導入の反動は来ているはずです。導入のために、アメリカのソフトパワーに屈し、日本文化が少しずつなくなってしまうことは一つの反動としてもよいのではないでしょうか。私たちは人間の多様性を論じる一方でどこか中途半端なところでその考え方の利用を辞めてしまっているのかもしれません。殊、宗教については。日本人のように神を持たない人々の方が特殊であるということを認識し、グローバル展開を標榜する日本人である以上他国・他者の考え方の基盤に触れてみるのは必要なことでしょう。

『手紙屋』

読書録

 今回は神野さんが紹介してくださった『手紙屋』(喜多川泰)を読みました。

「手紙屋」

「手紙屋」

 


前回の『下町ロケット』もそうですが、新書・法律書・自己啓発を普段読んでいるので小説のような平易な語り口ですいすい読み進める本に対してある種、感動のようなものを覚えます。
下町ロケット』と同じ、と書いたものの『手紙屋』は自己啓発本と言っていいと思います。平易な語り口で自己啓発本に何かしらの壁を作っている人、感じている人には最適ではないかと思います。
就職活動に出遅れた主人公が、書斎を提供するお店で出会った手紙屋の広告に出会います。最初の一つめは無料(それ以降は有料)なので試しに手紙を出してみるところから始まります。(あくまで手紙屋がビジネスであるという前提のため)10通までという制約のもとで、主人公の考え方がどんどん変化していきます。
本全体の七割は手紙の内容です。内容以前に、手紙屋の手紙のフォント、主人公の手紙のフォント、手紙のやり取り以外を書いたフォントがそれぞれ違っているところ、それに加えフォントのチョイスがなにより素晴らしい。手紙屋のフォントは、落ち着き、ゆっくりとしたイメージを抱かせます。主人公のフォントは、若々しくいきいき、何か幼さも感じさせるフォントでした。なにか専門家でもないので僕の主観ですが。フォントを変えている本が珍しいとは思いませんが、文字の書き方がよりストーリーの中に入るための一助となりました。
内容について一つ感動したことがあります。出会った人のすべてを味方にする方法です。それは、「相手に称号を与えること」。たとえば、「あなたは絶対に約束を守る人」。そういわれると人はその「称号」に見合ったような行動をするようになると書いてありました。一瞬、人操術か?と思いもしました。「あなたの能力は、今日のあなたの行動によって、開花されるのを待っています」「人生は思いどおりにいく」という言葉からもわかるように、人にはすべてのセンスが備わっていてそれをどのように引き出すかということに重点を置いた考え方のようです。世の中ではセンスがある人が活躍していると何となく感じていたのですが、称号を与えられると頑張ってそれを実現してしまうという人間の行動を理解できてしまった以上、センスは誰にでも備わっていると考え方を改めざるを得ませんでした。まあ、ある意味人操術なのかも知れませんが。心構えについては、「主観」が重要であると主張していると読み取りました。これはアドラーの主張にも通じるものです。「人はみな主観的世界の住民である」『嫌われる勇気』(岸見一郎)の一節に出てくる言葉を所々思い返す場面がありました。手紙屋のいう「ピンチはチャンス、チャンスはピンチ」擦られた表現ですが、やっとこの表現が人間の捉え方によってその出来事がどのような意味を持つのか変わる、ということを伝えようとしていると理解できました。また、企業の選び方(決して方法論的なものではなく)や、具体的目標を建てる意義などに関しても言及されています。
よく、自己啓発本に書いてあることはどれもほとんど同じ、なんてことを聞きます。ある意味真理でしょう。(すなわちそれは、成功した人々にはある法則が働いていることを意味するとも言えると思います。)ただ、同じことだとしてもそれを違う人の、違う表現で読むことには意味があるのだと思います。殊更に、『手紙屋』のように分かりやすく親しみやすいストーリー展開は、主人公に自己投影することによって書いてある内容をより実現しやすくなるのでは、と思います。
三時間程で読めてしまう、本です。迷った時、背中を押してほしいとき、とても参考になる本だと思います。神野さんありがとうございました。

『下町ロケット』

読書録

 

下町ロケット (小学館文庫)

下町ロケット (小学館文庫)

 

 

昨日の23時ごろから『下町ロケット』(池井戸潤)を読み始め、 今日の午前中までに読んでしまいました。

作者の池井戸潤氏はTBSで放送されていた『半沢直樹』 の作者で直木賞作家、ぐらいにしか知りませんでした。 元銀行員であるところも作品に出てきていますね。 生まれは岐阜県慶應義塾卒だそうです。とっても優秀…。 いわゆる脱サラした作家さん。

肝心の中身ですが、主人公の佃と佃率いる佃製作所VS大企業とい う構図で基本的に進んでいました。 最初は同業他社との特許侵害に関する法廷での争い、 佃製作所の技術を大企業に対して特許使用契約か特許を売却かを争 う体内対外的葛藤という感じでしょうか。 主人公は佃製作所の二代目社長で研究者をしていた経歴があります 。この点が先の対立に大きな影響を及ぼします。

 素人目、展開に程よいスピード感があってすいすい読めました。 問題発生→苦悩→ 解決がいい意味で単純明瞭で非常にわかりやすかったです。 僕はめったに小説を読みませんが、登場人物が文字の情報( それも多くは名字だけの表記) のみに限られていて読んでいる途中に誰が誰だかわからなくなるた めです。しかし、本作はそういったことはほとんどなかったです。 それも単純明瞭な展開のためでしょう、 その問題の当事者が非常にわかりやすく描かれていました。また、 多くの登場人物をよりうまく表現した作者の技術によるところも大 いにあると思います(僕の理解力の問題もあり)

 ただ一つ気になった点は、 心情変化があまり描かれていないところです。 事実の因果関係的には、心情の変化には納得できますが、 具体的な心の変化、 心の声は主人公の佃しかほとんど表現されていませんでした。「 あーこの展開はこの人が味方になるのだろうな。 どう描かれるだろう。」 と思ったら特に心理的プロセスを描くことなく、 心情変化をするための事実の表現で成立させていました。 これに関しては、 いいか悪いかって素人にはわかりませんが僕は好きです。 より因果関係が明瞭になるし、 なおかつ描かれない部分については読む側の想像力に任せるという のは素敵だと思います。特に後者については、 ドラゴンクエストを代表として多くのゲーム作品が主人公に一切言 葉を発しないように作られている点に共通項を見出しました。

 よく文学において「行間を読む」なんて表現がありますが、 できねーよなんて思っていた自分は、 こういう理路整然とした事実の展開でわくわくできる作品は、 読んでいて楽しいし少なくとも、内容がわかった気になれます。笑

おすすめいただいたようによい作品である意味、 僕に合っているという指摘は的を射ているような気がします。

書評じみたことを書いているのは、読んだうえで何か+ αで生産をしたいという意思からです。 あくまで個人的見解なので当てにしないで下さい。笑
 

『こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した』

読書録

 最近なにも夜に予定がなければ九時半から十時には寝る生活なので、今日は朝四時くらいに自然に目が覚めました。

こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した

こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した

 

 

せっかくなので本棚からなんとなくこの本を手に取り読みました。

期間:二時間半くらい(だらだらコーヒー飲みながら、携帯を触りながら読んでいたので)

確か、ブックオフで100円くらいになっていたので買いました。

地雷撤去から子ども兵の問題などを対象としたNGO組織テラ・ルネッサンス(テラはラテン語で地球、ルネッサンスは英語で復興、再生)を学生時代から立ち上げた著者の半伝記、半自己啓発のような印象。

印象に残った言葉は、

「本当にやりたいことに明確な目的はない」

という言葉でした。

多くの支援者を巻き込み組織をう誤解している著者自身が、「いまだに、この活動をなんのためにやっているのか、自分自身でもよくわかっていない。カンボジアの地雷原を音連れたことなどの物理的なきっかけは話すことができるのだが、活動を始め、そして続けている動機がよくわからない。」

 

著者はわかりやすいたとえとして、

「たとえば、本気で好きになった人がいるとする。その人をなぜ好きになったのか。事柄的なきっかけはあったとはいえ(中略)、そんな部分的な理由で『本気で好き』という自らの感情を規定できるのだろうか」

と述べています。

 

 

たしかに人を好きになるときにあれがいい「から」といって明確な目的をもっていた覚えはない。

たしかに小学校の休憩時間にドッチボールをやりたい気持ちに明確な目的はなかったような気がする。

今までは、やりたいことを探すって言っても、なにか自分を行動に駆り立てる義務感みたいなものを生むものを探していたけど、なんとなく回りくどいことをしていたな、と。義務感を生むような大量の情報に囲まれて情報一つ一つに感じる重要性みたいなものを感じることができなくなっていました。

この本には、僕たちにとって当たり前のことが当たり前ではない人々の様子もたくさん書かれていて、なにか心の中でくすぶるものが生まれたような気がしました。